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蟲ババ様~ババ様は白衣の天使!?の巻(4)
参
「うわぁぁぁ。だっ、騙されたぁ!」
煙草を吹かしながら待ち受けた蟲ババ様の顔を見るなり、ホイホイくんは絶叫しています。
混雑する巨大テーマパークの片隅、幾つかのベンチがあるだけの休憩所の一角でのことです。とは云え、他の場所に比べて空いている。と言うだけの話。他のお客さんが居る中で、急に大声を出したものですから、流石のババ様もちょっと恥ずかしそうです。
『眠り姫』の精神が捕らえられている場所は、この休憩所近辺で間違いなさそうですが、蟲ババ様の力を持ってしても、其処から先に進む事が出来ません。見えてしまう人たる蟲ババ様をして、今回の物の怪は的確にその姿を捉える事が出来なかったのです。
其処で、これ以上ない強力な触媒、蟲ババ様が『物の怪探しのお便利アイテム』とか『幽霊ホイホイ』と呼んでいるホイホイくんの力を借りようとしたのですが、如何せん彼は過去に何度も酷い目に遭った所為か、蟲ババ様をあからさまに避けています。
実際は、浄化する能力を持つ蟲ババ様が近寄る事で、ホイホイくんにワラワラと群れている、この世にあってはならない魑魅魍魎たちが騒ぎ始めるのですが、そんな事はホイホイくんには理解出来ません。
「何時も、蟲ババ様が絡むと得体の知れない超常現象に巻き込まれる」
自分自身が最大の原因である事などつゆ知らず、ホイホイくんはそう考えています。まぁ、人と人との間に生まれる人間関係の誤解などというものは、所詮そんな処から来るものかも知れません。
しかし、それをよく知っている蟲ババ様は、妹に頼み込んでホイホイくんが自分の参加を知って逃げ出さないように布石を打っておきました。
美人女優か、はたまたトップモデルか。と、見紛う程の容姿を誇る妹に「是非。今度のオフ会でお会いしたいですわ」などと、頻繁に携帯やメールで連絡を入れさせたのです。
案の定ホイホイくんは、その勘違いぶりを発揮して、のこのことオフ会にやって来ました。
先程も各自の自己紹介が済み、皆が自由にパーク内を行動するようになった途端、ホイホイくんはさり気ないふりをして蟲ババ様から遁走しました。再び蟲ババ様は、妹にホイホイくんの事故現場への誘導を依頼しました。
蟲ババ妹は、華のO-EDに一人で住んでいます。蟲ババ様と同じように「見えちゃう人」なのですが、蟲ババ様が主に物の怪担当なのに対して、妹は悪霊退治が専門です。同じ能力者でも、それぞれに得意な分野がはっきりと分かれているのです。
物の怪、幽霊、魑魅魍魎、ありとあらゆるあやかしが見えてしまう蟲ババ様に対して、蟲ババ妹は「見えちゃう」範囲は非常に限られています。
微弱な霊や物の怪を関知する事は出来ません。しかし、見つけた獲物は逃さない眼力の持ち主で、その怜悧なまでの瞳に映るのは強大な力を誇示する霊や妖たちです。
蟲ババ妹の最大の能力は、一般的に物理的打撃や痛手を与える事が不可能な霊に対して、眼力で捕らえた以上は逃さない。と、直接的なダメージを与える事が可能な点です。だから、実体の伴わない霊に対してリアルにバトルが出来るのです。
実態を持たない霊を見付けるだけでなく、その瞳に見据えられた霊を忽ちにして石のように硬直させ、実態を持ってしまったかの如く物理的攻撃を加える事が可能な、古今の悪霊たちにゴルゴン三姉妹以上の恐怖として畏れらる存在、伝説の『覇眼』の持ち主が蟲ババ妹だったのです。
一見すれば中肉中背、宇宙人・・・否、宇虫人顔にして、性分は典型的O-SAKAのおばちゃんたる蟲ババ様と血が繋がっているとは到底思えない美貌の蟲ババ妹ですが、その血は見えないものが見えてしまう特異な能力として脈々と受け継がれていました。
愛用のピンヒールを含めればスラリとした身長は優に百八十㎝を超えます。長くてしなやかな足は対象物を蹴り倒すのに最適です。鞭のようにしなる腕から繰り出される音速を超えるほどの平手を受ければ、どんな悪霊も退散してしまいます。
只、その鍛え上げられた四肢から繰り出される必殺技は、見目麗しい容姿に惹かれて群がり寄ってきた男たちに炸裂し、現在までに浄化、消滅させるべき悪霊の数十倍の数にも及ぶ自称イケメン男の犠牲者が出ている、との噂もあります。
どちらにしても、この二人は或る意味、最凶の姉妹であると云えましょう。
蟲ババ様を警戒して、近付かないホイホイくんに対して、蟲ババ妹が声を掛けました。
「ホイホイさん。ちょっと宜しいですか」
どんな男もコロリと参る蟲ババ妹に一言声を掛けられただけで、女性に免疫のないホイホイくんは簡単に誘いに乗ります。
ホイホイくんは、実際何の特徴も取り柄もない男ですが、非常に強力な守護霊に守られています。害をなす霊や悪霊の類はホイホイくんに取り憑く事は出来ません。何時も彼を取り巻いているのは、比較的無害な霊や街角に屯する魑魅魍魎ばかりです。ですから、蟲ババ妹にはホイホイくんを取り巻く霊たちは見えません。この霊や物の怪たちには蟲ババ妹のアンテナに触れるまでのパワーがないのです。
しかし、蟲ババ様は違います。蟲ババ妹に連れられてやって来たホイホイくんを一目見るなり。
「あっちゃー。側で見ると気味が悪うなるくらいに今日もウヂャウヂャ、ワラワラ、ゾロゾロと連れてはるで、このオヤジ」
騙された。と、慌てふためくホイホイくんや、数多彼方の世界の住人たちを目撃してしまって呆然とする蟲ババ様以上に驚いたのは、ホイホイくんに付き従っている魑魅魍魎たちです。
この人には自分たちの姿が丸見えである。しかも、自分たちを消し去る能力を備えている。
ホイホイくんの周囲に屯する本来見えない筈の人たちは、一斉に身の危険を感じて騒ぎ始めました。
その結果、ホイホイくんは金縛り状態です。蟲ババ様の意図を瞬時に察した彼の守護霊も、ホイホイくんに無理矢理協力させようと、金縛りに遭った彼を助けようとはしませんでした。
「じゃぁね。アタシの役目は此処まで、友達を待たせているので、楽しみにしていたアトラクション、行ってきます。」
「ああ、久々のO-SAKA十分に楽しみや。って、アンタなぁ、そのすかしたO-ED弁、何とかならへんか」
「そんな事はいいから、いいから。じゃ、姐さんも頑張ってね。後はお任せ、ですね」
ホイホイくんの災難を余所に蟲ババ妹は軽いノリで、黒髪を棚引かせながら颯爽とその場を後にします。
取り残されたホイホイくんは身動き一つとれずに、その場で脂汗をかきながら彫刻のように立ち尽くしていました。
「さぁて、と。ホイホイくんはあの守護霊はんが守ってくれてはるから心配ない。と」
蟲ババ様もホイホイくんの災難など一顧だにせず、周囲を見渡して先程までとの変化を観察します。
しかし、何も気になるところはありません。
「ありゃりゃぁ、おっかしいでぇ。この幽霊ホイホイ野郎が来たからには、何か変化がある筈やと思うたんやけど」
訝る蟲ババ様の耳に微かに届く声のようなものが聞こえ始めました。始めは風の囁きか、虫の羽音のように些細な物音でした。
耳を澄ますと、それが幼子の声となって聞こえてきます。
注意深く周囲を見渡すと、端にあるベンチの横に陽炎でも立ったが如き空間の歪みを見つけました。
「なぁ、おっちゃん。ウチに手ぇ貸してぇな」
どうやら、ホイホイくん触媒作戦は図に当たった模様です。幼子はホイホイくんの出現に反応している様子でした。何やら助けを求めているようです。
「流石、幽霊ホイホイやなぁ。もうちょっと力貸してんか」
蟲ババ様はホイホイくんの横まで歩み寄り、強引に手を引いて空間の歪みを感じる場所まで導くと、その横にあったベンチに座らせました。
「大体アンタなぁ。そないな顔して、ずっと彼処で固まったまま突っ立っとったら不審人物やで」
正直、云って余計なお世話です。
ホイホイくんにしてみれば、全て貴女の仕業だろう。と、文句の一つも言いたい処です。が、彼は声一つ発する事が出来ない状態です。
ホイホイくんが近付く事で空間の歪みはカタチを伴い、徐々に実態を持って鮮明に浮かび上がってきました。
「おっちゃん、ウチが見えへんの。ちょっと助けてくれへんかな」
遂に、蟲ババ様の目にも古ぼけた自動販売機とその下に地面を這うようにして手を突っ込んでいる、幼い女の子が映りました。
「この子が事故にあった当時の『眠り姫』ちゃん」
ババ様が咄嗟に呟きます。
「なぁ、おっちゃん、ウチの声が聞こえぇへんのか」
『眠り姫』はホイホイくんの方を見ながら縋るような目付きで話しかけますが、生まれついての鈍感者、と云うか守護霊の鉄壁ガードに守られたホイホイくんには彼女の声は全く聞こえない様子です。
「どないしたんや。何か困った事があったらオバハンに言うてみぃ」
自販機の前にしゃがみ込むようにして蟲ババ様が幼子に声を掛けます。
「どわわわわぁ、吃驚したぁ。なんや、おばちゃん、急に現れて。どっから降って湧いたんや」
『眠り姫』は目を真ん丸にして蟲ババ様の顔を見詰めます。
「まぁええわ。なぁおばちゃん。ウチこの下に釣り銭落としてしもうたんや。悪いけど取ってくれへんかなぁ。ウチ、子供やさかい手ぇが届けへんのや」
「おっしゃ、おばはんにまかしときや」
『眠り姫』に代わって蟲ババ様が自動販売機の下にそのごつい手を差し知れますが、太過ぎるババ様の手は、幾ら頑張ってもなかなか奥まで届きません。
「おばちゃん、大丈夫か。あんまり力んでも良うないでぇ。顔が真っ赤やないか」
『眠り姫』が蟲ババ様を気遣って覗き込んできます。小さな手には大切そうに二本の缶ジュースが握りしめられていました。
「うーん。おばはんでも届かへんなぁ。何か棒でもあれば手繰り寄せる事も出来るんやろけど」
一旦、身体を起こして、蟲ババ様は何か使えそうなものはないかと、周囲を見渡しましたが、周囲の状況が一変しているのに驚かされました。
ホイホイくんの姿もテーマパークの休憩所も其処にはありません。只、一面に広がっているのは夜の闇です。
漆黒の世界に自動販売機の明かりだけが灯り、蟲ババ様たちの足下を仄かに照らしているのみで、他には何も見あたりません。
「『眠り姫』ちゃん、アンタ。ずっと此処で一人ぼっちで、落ちた硬貨を探してたんか」
呆然と周囲を見渡して蟲ババ様が呟きました。
「誰や、それ。ウチ、そんな名前ちゃうで。ウチな、名前マーコ言うねん」
「ほぉ、マーコ言うんか」
「せや、そんで、お姉ちゃんがケーコ」
「ケーコ姉ちゃんか」
殆どオウム返しで蟲ババ様は返事をしています。何故、この幼子がこの場に留まっているか、未だに蟲ババ様はその理由が把握出来ないでいます。そして、何より不可解なのは、物の怪の気配があまりにも微弱な事です。どうやら、この子に取り憑いた物の怪の実態はこの場所以外に存在している様子なのです。
「敵の正体は此処のみにあらず。ちゅー事なんか。或いは、複数の心をよりしろに単体の物の怪が憑いている。物の怪は此処にいる子供を取り込んで、力を及ぼしているものの、他の場所に身を潜めている。と、云う事か。敵はこの場所にあらず。こりゃ、思ったより厄介かも知れへんで」
しかし、物の怪自体からは邪悪な気配は全く感じられません。今回の敵が強大な力も持っているとは思えません。そんな無害な筈の物の怪が何故、次元にイレギュラーを引き起こすなどと云う大それた事をしでかしているのでしょう。
「わっからんなぁ。今回の物の怪は」
首を捻っている蟲ババ様にマーコは一生懸命、語り続けています。
「あんなぁ。落っことした釣り銭、姉ちゃんのもんなんや。ウチ、姉ちゃんからお金預かってジュース、買いに来てたんや」
「こんな時間にか。姉ちゃん、一緒やないのか」
そうです。恐らく、この情景はマーコがガス爆発に巻き込まれる瞬間の状態なのです。何故、こんな幼い子がたった一人でこんな時間に自動販売機の前にいるのでしょう。他の家族は自宅内で死亡しているにも関わらず、この子だけが何故、外に居たのでしょう。
「落としたお金、姉ちゃんが何日も何日も大切に貯めたお小遣いなんや。大切なお金なんや。それをウチ落としてしもうた。拾おう思たら、ウチの指先から逃げるように釣り銭がこの下に転がってしもうたんや」
マーコの目には薄っすらと涙が滲んでいます。
多分、この空間に時間などと云うものは存在しないでしょう。それでも、蟲ババ様たちの世界では、事故が発生して既に十年近くも経過しています。その間、この子はずっと泣きながら自販機の下に落ちた小銭を取ろうと必死で足掻いていたのです。
「よっしゃ。ほんならオバハンがこの自販機持ち上げたる」
「幾ら何でも、そりゃ無理やでおばちゃん」
マーコの言葉が終わらないうちに、蟲ババ様は自動販売機の下に両手を突っ込むと、渾身の力を込めて持ち上げました。
勿論、只でさえ重い自販機、しかも強力な金具で地面に固定してあります。普通の人間では、ずらす事さえ不可能でしょう。これが出来たら、蟲ババ様は怪獣か世界征服を企む悪の秘密結社が生み出した改造人間です。
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
出来ちゃいました。
やはり、蟲ババ様は人間ではなかった模様です。
地面に深く打ち込まれた太いボルトはメキメキと苦しそうな音を立て、自販機が次第に浮かび上がっていきます。
「うわぁ。おばちゃん凄い!」
マーコが感嘆の声を上げました。
「そんな事言っとる間に、はよ!はよ!早う下に潜り込んで釣り銭拾いや」
大きく口を開き、目をひん剥いた宇虫人フェイス全開で蟲ババ様が叫びます。
「うん、分かった」
先程までと比べると、大きく空いた地面と自動販売機の隙間にマーコは小さな身体を滑り込ませました。
「くぅぅ。此処は観念だけの世界の筈やからもっと簡単にいくと思ったのに、何でこんな不自由な思いせなあかんのや。ほんま人の固定概念とか思い込みって厄介やわ」
ま~だ……つづく。
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ひとつお願いが・・・
イヤイヤ o(≧0≦)o ☆ヤダヤダ
空×ジ・Oに絵を描かせようとは!!
絶対に無理です。
でも、妹さんは○○女史のキャラと口調、それに●●女史の文章による喋り方を足して二で割って創ったものです。
御尊顔はモザイクがかけてありますが、叶姉妹も吃驚の見目麗しい本当にモデルさんのようなドレス姿や水着姿はその方のブログにアップしてありましたから根気よく探してください(爆)。