[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「蟲ババ様~宇虫人顔のババ様、落書き顔の死神と対峙する!のまき(6)」(完結)
「おかえりなさい、温泉はどうだった」
ホイホイくんは子供たちを出迎えます。
「花坊も蟲ババ様のこと、知ってたんですか。確かに、仁王様と云うのは的確な表現ですね」
「うん。ウチが入院してた時に、優しゅうしてくれた看護師さんや。いつもウチら入院してる子供らの味方してくれはったエエ人やで」
「嗚呼。ババ様はいつも良い子の味方ですからね。見た目は怖いですけれど」
「ひゃはははは。すると、そのババ様に酷い目に遭っていたホイホイは良い子失格。と、言う訳だな」
狐がまたしても横槍を入れてきます。
「元々、良い子と云うには無理がありますが。僕の場合」
「何、言ってやがる。俺様から見れば子供だろうが、爺や婆だろうが、ニンゲンなんぞ誰も雛同然よ」
狐の馬鹿笑いは留まる所を知りません。
「なぁ、皆と遊びたいからお手玉、貸してくれへん」
花坊がホイホイくんに言いました。
「良いですよ、はいどうぞ」
ホイホイくんは懐から裲襠で作ったお手玉を手渡します。
手首に巻かれた朱い紐。心中を試みながら、無惨にも切り離された赤紐。成仏出来ないまま、魂だけは現世に留まり、永遠に訪れることのない想い人を待ち続けるだけの遊女。ホイホイくんを救うべく、自らが盾となり悪霊に取り込まれた女性が残していった形見のお手玉です。
「そうだ。僕は彼女や花坊と出逢ったからこの世界に飛び込んだのかも知れない」
ホイホイくんが呟きました。
「こら、ホイホイ。ほんとぉ~に面白味の欠片もないヤツだなお前は、酒も呑めん男など真っ当な付き合いも出来ん社会不適応者だ。俺様の酒が呑めないんだったら、何か芸の一つでもして場を盛り上げんか」
狐は相も変わらず騒いでします。
「だから、僕は何の芸も取り柄もないですから、勘弁して下さいよぉ、お狐様」
笑いながら、ホイホイくんは狐が手にしているグラスに日本酒を注ぎました。
窓際には、焔姫や白犬、水神が外の景色を黙って眺めていました。ホイホイくんも彼らの隣へと足を運んで、夜景に目を向けます。
「うわぁ、流石に此処は星が綺麗ですねぇ」
水神に声を掛けると、深海魚顔の偉丈夫は静かに頷きました。
「この空の何処かで、長老や樹様たちが待機しているのですね」
「我等の力も強大になり過ぎた。ヒトの氣が及ぶ所に長時間滞在していては、どんな影響を及ぼすか分からんからな」
応えたのは白犬です。
「如何ですか、まだ料理もお酒も残っていますが」
ホイホイくんが、振り向いて大机に目を向けます。そこでは様々な妖や精霊、魑魅魍魎が騒いで楽しんでいました。大蛇は蜷局を巻いてアルコールをラッパ飲みし、金翁は十分に出来上がってしまったのか、巨大な大刀を枕に眠っています。
「いや、十分に頂いた。だが、あの馬鹿だけは少し騒ぎすぎだな。少し窘めてやらんと」
そう言った白犬は、水神と共に狐の元へと向かいます。
「いよいよ明日ですね」
一人残って、窓枠の上に佇む焔姫にホイホイくんは声を掛けました。
目の前には、疎らな街の光と満点の星月夜が広がっています。黒々と横たわる山脈の稜線が天と地を分け放ち、そこだけが切り取られたかのように漆黒の闇を湛えていました。
「ヒトの子。貴様にはあれが見えるか」
焔姫が向かい側にある山の中腹当たりの灯りを指さしました。そこだけ爛々と光の塔が形成されています。
「はい。初め此処に来た時よりもはっきりと見えます。あれが霧ホテルですか」
「そうか、貴様にもあれが見えてしまうか。ヒトの子よ」
声を落として言うと、焔姫は小さな掌をホイホイくんの頬に当てました。
「済まない」
ポツリと一言だけ囁きます。
そのままの状態で、暫く夜風に当たっていた二人ですが、けたたましい物音と共に、背後で突然の騒動が起こりました。どうやら、酒癖の悪い狐が窘めに入った白犬や水神に絡んだ様子です。
「この馬鹿狐が。今日と云う今日は許さんぞ」
白犬は狐を組み伏せて折檻しています。
「長老が甘い顔ばかりするから、それを良いことに、いつも付け上がるのだ。この馬鹿は」
水神までもがそれに加勢しようとする始末です。
「ちょっと、ちょっと。他の宿泊客もいらっしゃるんですから、あんまり騒がないで下さいよぉ」
ホイホイくんが慌てて彼らを止めに入ります。
「済まない、本当に済まない。ヒトの子よ。貴様だけは私がどんなことがあっても守ってやる、だから許してくれ」
ホイホイくんの後ろ姿に焔姫は小さく呟きます。そして、空を仰いで言葉を紡ぎました。
「聞こえますか、長老。我等の所行、天が座して看過するとは到底思えません。天の理に抗う決意をしたその時から、長老はこうなることを予想していたのでしょう。なれど、私は、もしもヒトの子に天からの危害が及びそうな時は、新世界の設立よりも彼の命を守ることを優先するかも知れません」
焔姫が一人漏らしたその言葉は、満点の星空に吸い込まれるように消えていきました。
めでたしめでたし。
お終い。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
取り敢えず、連休中に残りを一気に書いてみました(汗)。
推敲などはしていませんので、読み難い部分は随所にあると思います。
始めは、ババ様と落書き顔の死神のエピソードだけのつもりでしたので、前後編くらいの筈だったのですが・・・
本来の、ムシババ様の原点。
こぢんまりとした、街角の物の怪退治に近い話になるはずだったのですが・・・
あまりに久々だったので、一応覚えている限りの登場人物を適当に出しておこうかなと(爆)。
間隔が空きすぎた分、途中から読む人は何が何だかサッパリ分からないと思いますし。
だから、佐倉林檎嬢とか花坊とか、裲襠の遊女とか、話の展開上は余分と云うか邪魔なだけなのですが、出てきちゃいました(爆)。
と、云うか。
本来、予定していた話にとってはホイホイくん自体が大いに邪魔なだけの存在なのですがw
御陰で、最後のババ様と死神のホイホイくんの消息や目的に関する下りはダラダラとした説明口調の台詞の応酬のみ・・・アイタタタ・・・
ったく・・・厄介なヤツです。
まぁ、街角の物の怪退治だと、ババ様が単なるセラピストとか人生相談オバサンに成り下がっちゃいそうなので、強引に出したのが間違いだったのですが。
取り敢えず、またこんなコッパズカシイ代物は一週間ほどで削除して証拠を隠滅する予定ですが、中には削除反対の声も・・・
物好きな(爆)。
自分でも適当に書き散らした代物ですので、チラシの裏的なものだったのですが、それ以下のトイレの落書きであることが指摘されて、俄然やる気をなくし、片手で数えるほどしかいないババ様ファンのために続きを書いただけですから、削除しないまでも、とっとと記事を流してしまおうと画策中♪
あ・・・
因みに・・・
分かる人は直ぐにピンと来たかも知れませんが。
今回の少女と死神の話。
http://izorudeisora.spaces.live.com/blog/cns!C13118118EB38C62!480.entry
これが元ネタだと、直ぐにバレちゃいますね(爆)。
これを読んでいて、思い付いたお話です。
怖い掌編がお好みならば、自分のダラダラした駄文読むよりは、こちらの頁のカテゴリー「ホラー(?)」の方が余程面白いと思いますw
人様の頁で恐縮ですが(爆)。
Profile
Counter
Calendar
01 | 2025/02 | 03 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | ||||||
2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 |
16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 |
23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 |
ダメ!
ずーっとこのシリーズを読んで来た私には、虫ババ様、妹さん、ホイホイ君、優霊さんたちの行方が気になって性がありません。
なんだか、このまま盛大なエンディングになだれこみそうな(シリーズ完結?)気配ではありませんか。
この次に読めるのは、次の連休・・・お正月? うわーーん、待てません!!
ダメo(><;)o o(;><)oダメ
最初からババ様を読み続けている人が居ることに驚きですが(爆)。
盛大なエンディングにはなりません、それは保証します。
取り敢えず、予定としてはホイホイ君が退治された後の世界でババ様が正真正銘のババ様になって終わりますから。
エンディングはババ婆様の大往生です(爆)。
盛大にはなりようがありませんw
まぁ、良いか。
主体性がないので、駄目と言われればそのままにしておきますが。
記事が流れちゃえば、削除したも同然ですし♪
削除ですか・・・
初めて読みましたけど、初めてなりに楽しませていただきました♪。
(^◇^)ノ_彡☆ばんばん
ははは♪
だってこの先、思い切りネタバレしても大したことない話ですからw
途中からでは分かり難かったかも知れませんが、こんなモノ根気よく読んでいただいてありがとうございます♪
削除反対
次回はなに、お正月? 絶対削除しちゃだめです。。。私は内容忘れますから♪
ドン!(ノ`∩´)ノ☆(ノο_ο)ノポテッ!アィタッ
あ・・・さう云えば、G優勝おめでとうございます。
空×ジ・Oの意外な才能・・・どんな環境でも昼寝が出来ることでしょうか♪
一気に勢いで読まないと、読めない代物ですからw
漢字が多いと敬遠・・・プププププw内容忘れる・・・プププププ・・・w
よ~く、言いますね。
ハイ、口があるんで(爆)
えーん 。°°(≧□≦)°°。悔しい~!
くぅぅぅぅ・・・・
そう言い換えしてきたか。
言い返せない自分のボキャ貧が悔しい!!