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ネタがないので最近読んだ本。
豆腐小僧双六道中ふりだし~京極夏彦
別に、最近の本ではない(爆)。
何年も前に買って押し入れの奥に眠っていた。
先日のロマンアルバム捜索時に見付けたが、そのままの状態で放置して置いたら・・・ここ何日か何故か押し入れの戸が上手く閉まらない。
不思議に思ったら、中で山積みになった本が雪崩現象を起こし、この本が引っ掛かっていた。
これは、きっと豆腐小僧が「買った以上は本棚ならぬ押し入れの肥やしにせずにちゃんと読んでくれ!」と、縋っているのかも知れない・・・などと考え、手に取ってみたが・・・。
あの「凶極」本である。
厚くて重くて文字が一杯の「凶極」本。
普通の書籍に比べてほぼ正方形の些か小振りなサイズとは云え、やはり分厚い(汗)。
活字が大の苦手で、文字を読んだり書いたりすると偏頭痛を起こす特異体質の空×ジ・Oにとっては高すぎるハードルである。
特にここ数ヶ月は何もやる気が起きない、生きた屍状態の毎日が続いている。
(あ・・・それは毎度のことか)
が・・・。
数少ない『ちょび』助の手にかかる前に自分で襤褸襤褸にしてしまった書籍・・・挑戦してみるか・・・
と、読み始めたら、これが物凄く面白い(爆)。
元々、この作家の作品は殆ど読んでいる。
量的に圧倒され気後れしながら読み始めても何時の間にやらすらすらと没頭して読んでしまうのであるが、実は文章の巧みさや際立った登場人物に魅了されて読み続けているだけで、ストーリー自体はあまり好きでないものが多い。
特に某シリーズ(爆)。
臍曲がり的に最高傑作だと思っている「絡新婦の理」のように個々の事象を有機的に結合する恐ろしいまでの手腕は天変地異でも起こしそうなほどにテンサイ的なのだが、その分他の作品に比べて京極色が薄めかも知れない。
何だ?好きでシリーズを書かさず読んでいるけれど、実は京極堂シリーズ嫌いだったりして(爆)。
「塗仏の宴」前後編なんて、実際の処は駄作中の駄作だと思っている。
読み終わって、TV版エヴァンゲリオンも吃驚の騙された!気分満喫状態w
でも、読んでいる時は何処かの敏腕編集者様のように食事もおにぎり片手に本に齧り付いていたけれど。
しかし、この豆腐小僧は違った意味で物凄く面白かった!
くすくす・にやにや。
自分でも頭がイカレタのでは?と思えるくらい頬を緩めて読んでいたから。
他のこの作家の作品以上に量を気にせずスラスラと読めたし。
ある日、情事の為に廃屋になった豆腐屋に忍び込んだ男女。
若旦那の方が、豆腐小僧でも居るのでは?と、思ってしまった瞬間に降って湧いてしまった豆腐小僧。
本来妖怪とは存在しない存在。
不可解な現象や得体の知れないモノに対する後付的な意味合いで説明される対象となるもの。
飽くまで人間の観念の中にだけ存在する、説明不可の現象の説明。
非存在でありながら、其処に生まれる変な奴。
居ないことによって存在を許される変わり者。
だからこそ、人間が居なくなれば、人間が妖怪を否定したり、忘れてしまえば即座に消えてしまう存在。
それでも、若旦那たちが居なくなっても豆腐小僧は消えなかった。
誰も居ない廃屋に一人佇む豆腐小僧。
「何で、自分は此処に居るんだ?」
「何で、自分は豆腐を持っているんだ?」
其処で自分探しの旅に出る豆腐小僧。
って・・・この豆腐小僧が根っからのお惚けキャラで地の語りや登場する仲間たちに諄いほど「バカ」呼ばわりされても、その上を行くオバカキャラだし(爆)。
行く先々で出逢った妖怪たちが、豆腐小僧の自分探しを手助けしてくれるんだけれど、結局は「妖怪の分類や種類」とか「妖怪の歴史」に関する作者お得意の蘊蓄話が展開される。
けれど、これが面白いし読んでいて、成る程!と思わず膝を叩く上手さがある。
小難しい話しか出来ない某シリーズの主人公の蘊蓄とは全く別物の面白さ。
落語口調の地の文がまた面白い。
巧みな語り口で面白可笑しく話を進めてくれる。
これぞ正しく匠の技の云った感じ。
芸ですね、名人芸。
こんな落語があったら、速攻で寄席まで走りますよ空×ジ・Oは(爆)。
これぞ正しく、文書・文字による芸。名のみで実質潰えてしまった「文芸」とは、このような物なのか!と、思えるほどのワザの巧みさ。
ただ、途中まで読んで文中に出てきて始めて気が付いたのは・・・ストーリーが殆ど進んでいないw
文章に魅了されて肝心のストーリー展開が・・・確かに進んでいない・・・作者に指摘されるまでクスクス笑って読んでいて見落としていたが(爆)。
と、思いきやクライマックスで怒濤の展開。
結局、小利口な連中よりオバカな奴の方が偉大な存在だったのだ・・・。
ちょっと、何時もバカ呼ばわりしている『ちょび』助を見る目を改めねば。
嗚呼、アイツはただのバカ・・・かも知れない・・・。
この豆腐小僧。
この先、続きだありそうな雰囲気なのだが・・・続編が始まる気配は・・・まるで、ない。
以下私信・・・・
申し訳ありません・・・・ピンクラパン様。
この本と一緒に出てきました。
お貸しした中で唯一抜けていた「魍魎の匣」
これが一番読みたかったのですねw
そして、既に借りていたのですねアノオカタから(爆)。
此方は文が二段にはなっておりません。
その分頁数が千頁超えてますが(大笑)。
金春屋ゴメス・西條奈加
此方も、数年前に出た本だと思う。
購入したのはつい先日。
以前から、奇っ怪なタイトルが気になっていた。
なんぢゃこれは?と、興味を持っていた。
時代物か?と、思って読んでみたら、設定は21世紀・・・。
北関東から東北地方にかけての一万平米弱の国土にかつての江戸をそのまま再現し、人口七百万人を抱えて鎖国を敷いている「江戸国」が舞台。
入国者は制限され、300倍と云う競争率をたった一度でクリアした主人公の身元引受人が、長崎奉行・馬込播磨守(金春屋ゴメス)。
実は、300倍もの競争率を制したのには、嘗て致死率100%と恐れられた謎の伝染病が再び江戸で(意図的に)胎動を始め、その治療の鍵を本人も知らない内に握っていたからだった。
これも楽しめた作品。
今日が講習会だと云うのに、明け方まで夢中で読んでいた。
御陰で、遅刻を避ける為に地下鉄の駅から延々タクシーに乗って会場入りしたよ・・・空×ジ・O・・・。
この作品がタイムスリップものと一線を画すのは、江戸国の人たちが世界情勢をちゃんと知っていると云うこと。
勿論、江戸時代の生活を再現する為に携帯電話や電化製品は持ち込み禁止。
医療ですらも化学薬品は禁止し、漢方を基礎にした生薬のみ。
なのに突然、と云うか初っ端から「月に人が住んでいるなんて嘘みたいな話」などと云う台詞が出てきたりする。
江戸時代と現代の物の考え方を絶妙に混ぜ合わせたから成立する上手さが其処にある。
ストーリー展開は飽くまで江戸が舞台である為に時代物なのだが、この設定だからこその価値観や人々の生き様と云った対比が鮮明に浮き彫りにされてくる。
主人公は辰次郎と云う極々平凡な典型的今時兄ちゃん・・・ぢゃないか・・・未来の話なのだから今時と云うのは(爆)、なのだが、タイトルの元となった金春屋ゴメスがまた傑作!
ばかでかい異様な容姿に明晰な頭脳。
男気溢れるやんちゃな荒くれ者。
そのくせ、食にはなかなかに五月蠅い。
口は重いが手は早い(特に周囲に侍る者たちに些細な理由で鉄拳制裁する時は)。
ぢつは、ゴメスが女性だった・・・と云う件には普通の読者は吃驚するんでしょうが・・・。
空×ジ・Oは・・・
これを読んでも別段驚かず・・・。
このキャラで、容姿が叶姉妹も吃驚と云う詐欺的展開だったら・・・あの編集者様。
このキャラで、か弱き子羊の擬態を纏っていると云う騙し討ち的展開だったら・・・かの関西の女帝様。
などと、嗚呼・・・もしかして作者はこの人たちをモデルにした?などと想像してしまった(爆)。
えっ?それって空×ジ・O的にあのお二方はキャラが被っているのか?
と・・・取り敢えず・・・。
主人公が失われた過去を探りながら、流行病の謎を解いていく場面などはミステリーとしても十分に成立している。
なにより、現代と地続きだからこそ鮮明に浮かび上がる互いの問題点や矛盾を描き出していくこの設定、一作で終わるのは勿体ない気もする。
登場人物も魅力的だし、こんな作品こそシリーズ化すれば良いのに・・・と思ったら・・・。
続編が既に出ていた模様w
あぅ。
素直にシリーズ化して欲しいなぁ、と思っていたら既になっていた。
其処で「何だかなぁ」と思う自分は臍の付いている位置が少しずれているのだろうか?
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御世話になっています♪『ちょび』助の頁だけは御世話してやってるんですが(爆)。
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