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クリスマスイヴの夜・・・行く所もないので、映画を観に行った。

「マリと小犬の物語」

実は、この原作を持っている。

買っただけで、今まで読んでいなかった。

映画を観に行く前に読んでおこうと思ったが・・・押し入れに山積みされた書籍の中に埋没している。

しかも、空×ジ・Oは本屋さんでカバーを付けて貰うことが多い・・・一冊ずつ確認しないと、どれがお目当ての本だか分からない。

不用意に手を出して、雪崩現象でも起こすと後の始末が面倒である。

原作は読まずに映画を観に行った。

確かパラパラと購入するときに斜め読みした記憶では、原作は「山古志村のマリと三匹の子犬」と云うタイトルで、2004年に起こった中越地震により瓦解した家の下敷きになった飼い主である老人を救出まで勇気づけ、飼い主の救出後、小犬と共に現地に取り残された母犬の話だった筈。

映画では、老人と犬の関係が子供と犬に変更されていた。

その方が、泣かせる映画として作りやすいんだろう。

飼い主である幼い兄妹の演技が秀逸!

顔はお兄ちゃんがアジャコングなら妹は中嶋朋子みたいな顔だけど(ヲイ)。

妹の我が儘に振り回されるお兄ちゃん・・・とも取れる映画の内容なのに、二人の演技力が、そんなツッコミを却下させている。

兄妹以上に犬の演技が凄すぎ!

手間暇かけた職人技と、出演している犬の頭の良さによるものだろう。

場面場面での犬たちの行動に胸を打たれ、それが演技であることに気付いたとき、また吃驚させられる。

小犬たちも利発で闊達な二匹の犬と、鈍くさい一匹にキャラが分けられており、各シーンにその演出が成されている。

芸が細かいな・・・と、思っていたら、被災地に取り残された犬たちが橋を渡っているときに、橋が崩れて川に落ちる見せ場の為に用意されていたギャラ分けだと知らされる。

この転落シーンはCGだったが、此処の出来が今ひとつな気もした。

でも、動物もので泣かせを売りにした映画で、動物を死なせたりしたら或る意味、観客に対する背信行為。

本当に動物を突き落として死なせてしまったゾ・・・と取り沙汰された「子猫物語」よりはずっとましだろう。

このシーンで小犬を助けた後に、力尽きて倒れたマリ。その後、再会のシーンまで全く犬たちの登場場面がない辺り、見ている側の心理を上手く捕らえた演出だと云えるのでは?

飼い主を探しながら子供を守る母犬と、内緒で犬を助けに山へ入り、まだ幼い兄が妹を庇いながら悪戦苦闘する姿が、見事にオーバーラップする様は、健気でいじらしい。

妹を背負いながら山を登っていく兄。

そのシーンで妹の靴が脱げて落ちていく。

それだけの場面なのに、右隣で観ていた若い『あべつく』のオネイサン・・・「嗚呼!靴がぁ!」とか場内で叫んで、ヲイヲイ泣いてたもんw

このオネイサン。上映前から泣く気満々だったのか、始めからハンカチ用意して最初から最後まで泣き通し。

因みに、一緒だった男性の方は途中から前の座席に足を掛けて天井に顔を向けて、爆睡していた(爆)。

確かに、子供と犬を使うなよ・・・反則だろう・・・と、空×ジ・Oも思う。

子供、犬、家族愛、などなど感動映画としての定番をこれでもかと凝縮した映画。

勿論、ツッコミ処も盛りだくさん(爆)。

避難した長岡市内の学校の体育館では、父親とお兄ちゃんが普段は語り合えない話を続けるが、如何見てもその光景がほのぼのとした父兄同伴の林間学校。

被災した大変さが微塵も伝わってこない。

婆さんが泣き崩れたり、バックで何気に妊婦さんが映って大変そうだな・・・と云う描写はあるものの、映画に絡むシーンは本当にのんびりしている。

お爺さんと妹が、家が崩れて閉じこめられる場面でも・・・あれだけ見事に全壊したら、速攻で圧死ものだろうに。

新聞に載った写真も、マリは結構健康優良児状態(爆)。

これは仕方ないか。

わざと絶食させて骨と皮ばかりにする訳にも行かないだろうし。

それでも、実際に新聞に載ったマリは、飼い主が見ても始めは自分の犬だと分からないくらいに悲惨なほどに痩せこけていたらしい。

ラストシーンで、マリを抱いた妹が村中の人に拍手で出迎えられたシーン。

以前、火山の噴火で島民が全島避難?した被災現場に取り残されたペットたち。

某TV局が、其処に残された某有名人のペットだけを助けに島へ入り、見事に連れ帰ったTV的感動秘話を思い出してしまった。

これを感動として実践するTVの良識と、それを見て感動する人たちの神経を当時は疑ったものだが・・・。

他の取り残されたペットたちの立場は???

ラストシーンを見て、きっと山古志村は長閑で小さな村なんだろうな。

映画の中でも長岡市と合併とは云え、事実上吸収合併されるくらいだから、本当に村でペットを飼っているのは主人公の家くらいと云う、小さな村なんだろうな。

だから、マリ親子は村中のペットの象徴になったんだろうな。

などと、脳内で勝手にストーリーを組み上げて納得する。

でも、その設定だと・・・最初に、マリを捨て犬にしたのは一体誰(爆)。

テロップの最後に「この映画は実話を基にしたフィクションです」と、表示されたが、それを観た後ろのオバサンたち。

「ええ~っ。これって作り話だったの?全部嘘なの?がっかり」

「ぢゃ、途中で出てきた犬の写真は何?」

事実を基にした。とあるんだから・・・途中の犬はモデルになった本物のマリだろうに・・・。

映画よりも、周囲の反応の方が面白いな・・・この映画(爆)。

とは云え、隣に座っていたオネイサンのように「よっしゃぁ!これから気合いを入れて泣くぞ」と云う泣く気満々の人や家族連れにはお薦めの良質のファミリー感動映画ではありますw

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